心の病から逃げないで|向き合うことでわかる今後の傾向

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精神疾患の増加について

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ストレス社会と言われる現代で、うつ病をはじめとする心の病の患者が急増しています。今日の日本では、戦後や高度経済成長期と異なり、国のために働いて日本の成長に貢献するという自覚を持ちづらい環境が一般的です。既に経済的に豊かになった日本に対して、若者を中心に国の成長を意識した労働観というものは失われてきています。また、核家族化や個人主義的な風潮が進んでいますので、家族のために働くという意識も薄れつつあります。これらの傾向から、働いたり勉強をしたりするのは「やりたいから」という理由になりますが、言い換えれば「やりたくないこと」に対する耐性が弱くなってきているのが現代人と言えます。しかし、社会のシステムは高度経済成長期と大きく異なっていないため、「やりたくないこと」を我慢して多くこなさないといけない風潮が日本の社会には依然として根付いています。これが心の病が増えている背景だと考えられています。また、ライフスタイルの多様化も心の病の増加に繋がっているのではという指摘もあります。好きな時に好きなことをするということは、一見ストレスが少なそうに見えますが、たとえば食事を好きなタイミングで取っているとついつい一日の食生活が乱れたり、好きなものだけ食べてバランスが崩れるということも起こります。このように、現代人の理想の在り方と社会システムのギャップ、そして自由度の高いライフスタイルが心の病の流行に繋がっていると考えられています。

心の病の患者の増加は勢いを増していますが、一方で社会全体の取り組みも活発になっています。心の病に理解のある会社や学校でのサポートも増えてきていますし、メンタルクリニックの敷居もかなり下がって通院がしやすくなりました。今後は現代日本のストレス社会の根本にある、コミュニティの崩壊や人との繋がりを回復していこうという動きも出てくると考えられます。特に民間団体の動きは活発で、心の病を抱えていることを前提とした就職サポートを行う団体や、当事者だけでなく、心の病を抱える人の家族などが交流できる空間を設ける団体も出てきています。これらの動きが活発になると、会社においても心の病に対するサポートがより一層充実し、福祉制度においても心の病の治療が受けやすい制度作りの動きが出てくると考えられます。更に注目したいのは心の病の治療薬・検査法の開発です。心の病の克服は現代医療の大きなテーマですから、各大学や研究機関が様々な研究を日々進めており、新たな治療薬も発明されていますし、より客観的な検査法も開発されつつあります。このような医学の進歩に伴って、心の病の治療が少しずつ容易になってきたり、薬の副作用が軽減されていくことが予想されます。心の病を取り巻く環境は一見、日々厳しくなりつつあるように見えるかもしれませんが、実際は様々な取り組みや研究が行われており、むしろ心の病を抱える人にとっては希望が見えつつある時代と言えます。当事者も周囲の人々も、その動向をしっかりと見守っていくことが大切です。